こんにちは。岸本葉織です。
心や体がそっと整うようなアートを描いています。

自分の活動を「スピリチュアルアート」と呼んでいますが、それは特別な力を意味するものではありません。
違和感やズレに気づき、本質を思い出すきっかけになれたらと思っています。
「もっと上手に描きたい」という純粋な気持ちで始めたはずなのに、気づけばキャンバスに向かうのが苦痛になり、イライラが溜まってしまう。
そんな経験はありませんか?
実は、現代の「絵を描く」という行為は、SNSでの評価や技術向上への強迫観念によって、無意識のうちにストレスフルな「作業」へと変質しがちです。
この記事では、脳科学的な視点からストレスの原因を紐解き、筆を置くのではなく「目的を変える」ことで心を静める方法を提案します。
読み終える頃には、強張った肩の力が抜け、もっと自由に、もっと深く呼吸しながら紙に向かえるようになっているはずです。
なぜ「好きなはずの絵」を描くとストレスが溜まるのか?
- 絵がストレスに変わる「3つの心理的要因」
- 脳が「作業」と認識した時に起こる変化
- 完璧主義が引き起こす自己嫌悪の正体
本来、自己表現は解放的なプロセスですが、現代においてはストレスの源泉になることが少なくありません。
その理由は、私たちの脳が「描くこと」を自由な表現ではなく、厳しい「自己採点」の場に変えてしまっているからです。
「上手く描かなければ」という正解の罠
多くの人が「絵には正解がある」という思い込みに縛られています。
頭の中にある理想のイメージと、実際に手が動いて描き出される現実のギャップ。
この乖離が「自分はダメだ」という自己否定を生み出し、脳内でコルチゾール(ストレスホルモン)を分泌させます。
SNSの「いいね」や他人との比較が生む焦燥感
デジタル時代の大きな要因は、他者の視線です。
投稿した後の反応を気にしたり、自分より遥かに上手な絵師とタイムライン上で比較したりすることで、描く喜びが「承認を得るための労働」へとすり替わってしまいます。
SNSとの距離感に注意
他人の「完成品」と自分の「制作過程」を比較するのは、脳にとって最も大きなストレス負荷の一つです。
脳が「作業」と認識した瞬間にフローは止まる
「仕事のために」「練習のために」という義務感が強すぎると、脳の報酬系がうまく働かなくなります。
没頭して時間を忘れる「フロー状態」は、安心感があってこそ訪れるものです。

趣味でも仕事でも、絵を描くことにストレスを感じることは何度もありました。
頭の中の完成形に手が追いつかない焦りで、線が重くなり、紙をよれさせては自己嫌悪……。
それは絵が嫌いになったのではなく、「自分でコントロールできないことへの焦り」だったんです。

描くことは「整えること」。視点を変えるだけで呼吸は深くなる
上達を目指す「トレーニング」ではなく、自分を調律する「チューニング」として絵を捉え直します。
本サイトが提唱するのは、上達を目指す「トレーニング」としての絵ではなく、自分を調律する「チューニング」としての絵です。
完成を目指さない「非生産的」な時間の豊かさ
「何かを成し遂げなければならない」という現代社会の強迫観念から一度離れてみましょう。
完成させることを目的とせず、ただペンを動かす。
その「一見、無駄に見える時間」こそが、疲弊した神経を休ませる余白となります。
評価を手放し、ただ「今、ここ」の感覚に没入する
マインドフルネスの考え方と同様に、描画においても「評価(ジャッジ)」を止めることが重要です。
「良い・悪い」を判断せず、ただ線が生まれる瞬間を見守る。
この姿勢が、心の平穏を取り戻す鍵となります。
科学が証明するアートの癒やしとコルチゾールの減少
実際、短時間のアート制作でもストレスホルモンであるコルチゾールが有意に減少することが研究で示されています。
上手い下手は関係ありません。
手を動かすこと自体に、生物学的なリラックス効果があるのです。
コルチゾールとは
副腎皮質から分泌されるホルモンで、過剰なストレスを感じると増加し、心身に悪影響を及ぼします。

私が考える「整う」とは、理想を握りしめた手を緩め、今ここにある感覚に戻ることです。
結果をコントロールしようとする力を手放したとき、呼吸が深くなり、止まっていた線が自然に動き出すことがあります。

ストレスを溜めないための「整えるアート」3つの実践法
- 呼吸と線を同期させる
- 五感の刺激に集中する
- 単純な形を繰り返す
具体的に、どのように描けば心を整えることができるのか。3つのステップを紹介します。
【呼吸】線の一本一本に自分の呼吸を乗せてみる
息を吸いながら線を上げ、吐きながら下ろす。
自分の呼吸のリズムと、筆先の動きを同期させてみてください。
【感覚】紙の抵抗や色の重なり、指先の触覚に集中する
視覚的な完成度ではなく、「紙とペンが擦れる音」や「絵の具の匂い」など、五感の刺激に意識を向けます。
【無心】意味のない形を繰り返す「マインドフル・ドローイング」
渦巻き、点、波線。
意味を持たない単純なパターンを繰り返すことで、脳の「考える部分(前頭葉)」を休ませます。

私が「整える」ために描くのは、呼吸に合わせた線の重なりや、ただ色の滲みを楽しむだけの跡です。
これだけで、ざわついた心が静かに自分の中へと戻ってきます。

呼吸に合わせた線
息を吐きながら同じ方向に線を重ねました。少しずつ濃くなる変化が、今の呼吸のリズムです。

無心の繰り返し
同じ形をただ重ねるだけ。意味を持たせず、評価もせず、手の動きだけに集中しました。

にじみに任せる
水を多めに含ませ、乾くまで触らずに待ちました。コントロールしない時間も整えの一部です。
【比較】「上達のための描画」と「心を整える描画」の違い
どちらが良い悪いではなく、今の自分に必要なのはどちらかを選択することが大切です。
比較表
| 項目 | 上達のための描画(Training) | 心を整える描画(Tuning) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 技術向上、他者評価、完成 | 自己対話、プロセスの享受 |
| 意識の方向 | 未来(完成予想図、目標) | 現在(今、この瞬間の動き) |
| 評価基準 | 正確さ、美しさ、リアリティ | 心地よさ、呼吸の深さ、無心 |
| 主な画材 | 慣れた道具、高機能な道具 | 直感で選ぶ、手触りの良い道具 |
Tuning(チューニング)とは
楽器の音を合わせるように、自分の心身の状態を本来の心地よいリズムに調整することを指します。

「上達」を意識しすぎて疲れた人が、「誰にも見せない線」を先に引くようにしただけで、比較の思考が減り、呼吸が深くなったという事例もたくさんあります。
どうしても「上手さ」に執着してしまう時の処方箋
頭では分かっていても、つい上手く描こうとしてしまう時のためのヒントです。
描くのが苦しい時は「描かない」という選択も正解
「描かなければ」という思い込み自体がストレス源です。
筆を置き、ただ空を眺めることも、表現のための「整え」の一部です。
デジタルからアナログへ。五感を刺激する道具選び
デジタルは修正が容易な分、完璧主義を加速させます。
消せないボールペンや、予測不能な動きをする水彩など、アナログの「不自由さ」が逆に心を解放してくれます。
デジタルの罠
「Ctrl+Z(戻る)」に指が勝手に動く時は、無意識に完璧を求めて緊張しているサインかもしれません。
感情をそのまま色に変える「感情のデトックス」
「怒り」「悲しみ」「モヤモヤ」をそのまま色として紙に叩きつける。
形にする必要はありません。
私は「整えるための描画」には、特別な高級画材は必要ないと考えています。
特によく使うのは普通の鉛筆やシャープペンシルです。
鉛筆は力を抜けば薄く、込めれば濃くなる。
その微妙な変化が、呼吸や気持ちの揺れと自然に重なり、「今ここで動いている自分」に意識を戻してくれます。

よくある質問(FAQ)
- Q:全くの初心者でも「整える」効果はありますか?
A:もちろんです。むしろ先入観がない初心者の方の方が、純粋に「感覚」に集中しやすく、高い効果が得られることも多いです。 - Q:短時間でもストレス解消になりますか?
A:はい。5分間の「呼吸ドローイング」だけでも、脳のスイッチを切り替えることができます。 - Q:道具は何を揃えるのが一番リラックスできますか?

特別な道具は不要です。
上手く描ける道具よりも「安心して線を引ける道具」を選んでみてください。
好きな色のペン一本、家にある鉛筆、自分が落ち着く感触のものが一番です。
まとめ|描き終えた後、あなたの呼吸が少し深くなっているために
絵を描くことでストレスを溜めてしまうのは、あなたがそれだけ真剣に表現と向き合っている証拠でもあります。
しかし、時にはその「真剣さ」を脇に置き、ただ自分を慈しむために筆を動かしてみてください。
「上手く描く」ことから自由になった時、絵はあなたの最強の味方になります。

もし今日、少し心がざわついているなら、一本だけ線を引いてみてください。
その線が、あなたを「結果」から「今」へと戻してくれるはずです。
描くことは、あなたがあなたに戻るための大切な時間なんですから。












